ジジは本当は知っている「ミュルザンヌ」が本物なことを!

ベントレーのフラッグシップ、ミュルザンヌ。2枚目半でいくならばこそ、実は乗っていただきたい。その理由をお教えいたしましょう。
ささか旧聞に属しますが、世界陸上の100m×4リレーをご覧にいなりましたか?桐生選手がアンカーの藤光選手にバトンを渡した瞬間、これこそがジジの役割だ! と確信したのです。すみません、ちょっと分かりにくいですね。

何が言いたいかというと、ジジは次の世代に歴史のバトンを繋がなければいけないのです。歴史というと大げさですが、例えば機械式の腕時計。若者が、「スマホがあるから腕時計なんていらないよ」と言っているいまこそ、機械式腕時計という人類の素晴らしい発明を次代に伝えたいじゃありませんか。

男性●ダウンベスト13万8000円/キーレッド(ストラスブルゴ)クルーネックセーター2万5000円/パニカーレ、コーデュロイパンツ2万3000円/ブリリア1949(ともにトヨダ トレーディング プレスルーム)女性●ニットポンチョ8万2000円/パニカーレ、シャツ2万6000円/ジャンネット(ともにトヨダ トレーディング プレスルーム)パンツ3万3000円/インコテックス(スローウエア ジャパン)

「俺の機械式腕時計、カッケェだろう?」は、オヤジまでに許されるセリフ。ジジは、機械式腕時計をしっかり買って、この素晴らしい文化が持続するように努めなければならないのです。もしお孫さんに恵まれたのであれば、優しくて愉快だったジジの思い出とともに機械式腕時計は時空を超えて何世代も受け継がれていくはずです。

ではクルマの世界でお孫ちゃんに受け継いでもらいたいモデルは何でしょうか?それは、ベントレー・ミュルザンヌ。その理由は、ベントレーの最高級車だから……、ではなく、真意は6・75ℓのV8エンジンにあります。ミュルザンヌのエンジンフードを開けると、「6・3/4」という刻印が目に飛び込んできます。
このエンジンは、その設計を1959年に遡り、形式はOHV。自動車黎明期にSVという形式がありましたが、クルマのエンジンはOHV→SOHC→DOHCと進化を果たし、より効率的に高出力が得られるようになりました。

「だったらなぜ、古臭いOHVをありがたがるのか?」と疑問をお持ちになるのも当然です。けれどもクルマ界の先人達が、ガソリンエンジンを実用化しようとした苦闘の歴史をいまに伝えるのが、この6・75ℓのV型8気筒OHVなのです。
そんなベントレーのOHVエンジンを後世に伝える役割を担う、なんてカッコいいジジでしょう。加えて、ベントレー・ミュルザンヌに乗るという行為には、最新のリゾートホテルではなく、古城をリフォームしたホテルに泊まるような贅沢さがあります。

あるいは、超高級な真空管アンプの温かみのある音でクラシック音楽を楽しむのに似た趣です。実際にミュルザンヌを走らせてみると、低回転域からじわじわと滋味深いトルクを感じます。最近のヒュンヒュン回るエンジンと違い、タコメーターの針が振れる所作に重みを感じるのは気のせいでしょうか。なんというか、湿り気を感じる手触りなのです。

80年ぶりにベントレーによって独自開発されたフラッグシップモデルのミュルザンヌ。1959年設計の6.75ℓOHVエンジンを大幅改修・ツインターボ化して搭載する他、インテリアのウッドもパネルではなくブロックを使うなど、まさに本物の風格を備えます。取材車両は2016年に追加されたスポーツバージョンのミュルザンヌ・スピードで最高出力は537ps。価格3800万円(税込)/ベントレーモーターズ(ベントレーコール)

ベントレーにとっては、最新のエンジンを積むのが、商売的には正解でしょうが、あえてそうはせず、ミュルザンヌにだけは伝統のV8を搭載。この姿にベントレーが頑なに守る矜持を感じます。そんなことを知るのは、このクルマのオーナーのほんの一部かもしれません。

でも、分かる人には分かるのです。誰かにこのクルマに乗ってる理由を聞かれた際はこうお答えください。「ベントレーの伝統を載せたホンモノだからだよ」と。ミュルザンヌのOHVエンジンは、誰かの心を震わせるかもしれません。

また、プッシュロッドやロッカーアームが奏でるメカニカル音はDOHCエンジンにはないモノ。余裕の貫禄でクルマを乗りこなすジジならば、このメカニカル音も楽しんでいただきたいものです。
OHVにはOHVの良さがあります!

OHVにはOHVの良さがあります!

ともすればDOHCよりも劣っているイメージのあるOHVですが、必ずしもそれは正しくありません。OHVエンジンならではのメリットも数多くあります。まず最大のメリットはシリンダーヘッドを小型化できるため、エンジン自体の高さを低く抑えられ、車両の低重心化に大きく貢献します。