やっぱりMT車がおもしろい!

Photo:Takashi Ogiyama

コンマ1秒でも速く走るのなら今どきのATが正解です。でも、速さを求めず、走ることを純粋に楽しみたいのでしたらあえてMTを選ぶのがおススメです。老獪なテクニックを駆使してクルマを操る楽しみは堪りません。
岸田編集長の傑作「マニュアル車 むかしかっ飛び いまボケ防止」に刺激を受け、私も手カキ(マニュアルトランスミッションの手動操作の意味です)のマニュアル車川柳をものしてみました。

「やめられない むかし手コキ いま手カキ」。

う〜ん、イマイチ……、しかもお下品。いきなり残念な感じになってしまいましたが、でもやっぱり手カキのマニュアルトランスミッションはやめられないと思うのです。何がいいって、あの歯車と歯車がカキンと噛み合う、ダイレクト感が快感。やっぱりナマがキモチE! 

また下ネタかよって、いえいえ、ビールもナマがいいし、サバだってホントに新鮮なのは酢で〆るよりナマがうまい。最近のクルマはどんどん進化して、それは素晴らしいことではありますが、人とクルマがタイマンで勝負する感じが薄いのが寂しいんですね。クルマとの距離が離れ、乗せられている気がします。
でもマニュアル車は違います。たとえ複雑な仕組みの最新モデルであっても、マニュアル車だったら人とクルマは対等です。だって、下手な人は発進すらできないし、シフトアップでもダウンでもギクシャクしますから。人間に知恵と体力がないとまともに運転できない、それがマニュアル車なのです。

マジメな話、いきなりAT限定免許を取った世代は、ちょっとかわいそうです。なぜって、マニュアル車の運転を知っているからこそ、オートマの仕組みも理解することができ、うまく運転できようになるからです。
 
ポルシェ718ボクスター

ポルシェ718ボクスター

●エンジン:水平対向4気筒DOHCターボ●排気量:1988cc●最高出力:300ps/6500rpm●最大トルク:38.7kgm/1950-4500rpm●全長×全幅×全高:4379×1801×1281mm●車両重量:1335kg●価格:694万円(税込/6MT)/ポルシェカスタマーケアセンター

エンジンのスイートスポットはここ、だったらクラッチを踏んでシフトをして、スイートスポットをキープする。マニュアル車で運転をマスターした人は、このメカニズムを理解しているから、オートマもスムーズに操れます。
でも、スイートスポットを知らないオートマ君は、ただぼんやりとアクセルを踏んでるだけ。でも、花咲かじいさんならぬ、マニュアルじいさんは違います。「ほらほら、ココがキモチEんやないけ〜!」と、ピンポイント攻撃ができるのです。

どこがキモチEのかを知ることは、あらゆる世界で重要です。どこがキモチEかが分かれば、そこからは四十八手を駆使するのです。ただ、新車でマニュアルが選べるモデルって、実はかなり限られるようになってきました。
マツダ・ロードスターRF VS

マツダ・ロードスターRF VS

●エンジン:直列4気筒DOHCターボ●排気量:1997cc●最高出力:158ps/6000rpm●最大トルク:20.4kgm/6400rpm●全長×全幅×全高:3915×1735×1245mm●車両重量:1100kg●価格:357万4800円(税込/6MT)/マツダコールセンター

ごくフツーの車種にマニュアル車が設定されていることは稀なんですね。なんちゅーか、こだわったクルマにしかマニュアは設定されていません。

な〜んも考えずに乗る人は、な〜んも考えずにオートマに乗って、な〜んも考えずにアクセルを踏むわけです。つまりマニュアル車はいまやある種の贅沢品であり、マニュアルシフトを行うことは特権的な遊び。ただ、特権的とは言っても、お金がかかるどころか、むしろマニュアル車の方が安いわけで、気持ちの上での特権的な遊びですね。
アバルト595コンペティツイオーネ

アバルト595コンペティツイオーネ

●エンジン:直列4気筒DOHCターボ●排気量:1368cc●最高出力:180ps/5500rpm●最大トルク:23.5kgm/2000rpm●全長×全幅×全高:3660×1625×1505mm●車両重量:1120kg●価格:365万400円(税込/5MT)/ABARTH

な〜んも考えない人は、スーパーで安くてマズいワインを買っちゃいます。でも、ちょこっとだけでも考える人は、あと300円出せばみんなが笑顔になれるワインが手に入ることを知っています。マニュアル車も同じ。別に高いカネ払わなくとも、豊かなクルマ生活が送れるのです。  
アメリカではマニュアルシフトをスティックシフトなんて言いますが、男はやっぱり、垂直方向におっ立ったスティックで遊べるうちが華。屹立したスティックを、やさしく丁寧に、時にすばやく動かすことで、男は快感が得られる生き物なのです。

最後まで下ネタで誌面を汚したしまったお詫びに、締めはより高尚なマニュアル車川柳でまとめたいと思います。

「僕のスティック ダイレクト ナマがとっても好きだから」。

お粗末でした!
文/サトータケシ
写真/川田有二

【問い合わせ】
ポルシェ カスタマーケアセンター
0120-846-911

マツダコールセンター
0120-386-919

ABARTH
0120-130-595