ジジ放談・正体不明のマスクマン・コラム殺法「ついに生産終了した走るシーラカンス!?」

ついに生産終了した走るシーラカンス 絶滅する前にいかが?

古っぽいでなく本当に古い

古っぽいでなく本当に古い

ご覧ください、この威風堂々の佇まい。レトロ調に仕上げた今どきのクルマはよくありますが、なんちゃってレトロなクルマとはワケが違います。ジジの駆るクルマはこうでなければいけません。

 ジジ諸侯は本当にクルマがお好きでいらっしゃる。

 何号か前の当欄で、トライアスロン仲間の早川仁くんが所有する古いジープ・ワゴニアをご紹介した所、その余りに美しい仕上がりと、現代のクルマには無い威風堂々たる佇まいに感動した読者の方から、友人のツテを辿って複数のお問い合わせを頂きました。

 曰く、「すぐに欲しい」。
 曰く、「どこで売っているのか教えて欲しい」。
 曰く、「なに? 売っていない? それなら早川氏のジープを売ってくれるよう交渉してくれ」。

 当欄の写真を見て、ロクに記事も読まずに脊髄反射的に連絡を寄越されたと思うのですが、落ち着いて記事をよく読んでください。

 早川くんは、アメリカはペンシルバニアでその車両を発掘し、わざわざ日本まで運んで鎌倉の名人にレストアしてもらい、仕上がったクルマをハワイに運んで、向こうで波乗り用として楽しく乗っているのです。そこらの店で簡単にバリモノの個体が見つかるものではありませんし、彼はそのクルマを手放すつもりも当分ありません(もし売るなら私がソッコーで買います)。

「それじゃ俺はどうすれば良いんだ!」。

 ある読者の方は、電話口でかように悲痛な叫び声を上げられました。友人の紹介とはいえ、何が悲しくて見ず知らずの人にガタガタ文句を言われ、あまつさえ叫び声まで聞かされなければならないのでしょう。

「知るかよ、ケッ」と申し上げたい気持ちで一杯なのですが、私としても記事を書いて読者諸兄を焚き付けてしまった負い目がある。何とかその方の夢を叶えて差し上げたい。

 電話の主を、仮にC氏としましょうか。氏のお望みを要約すると、以下のようになります。

1:古くてイイ感じに枯れたクルマに乗りたい
2:でも壊れるのは絶対にイヤ
3:運転が面倒なのもイヤ
4:価格はどうでも良い

 あれがイヤこれがイヤと散々駄々を捏ねる姿は、まるで「いやいやえん」の園児のようですが、最後の「価格はどうでも良い」というのは、なるほど「GG」読者の面目躍如といったところでしょうか。

 そんな或る日、ひょんなことからC氏にピッタリのクルマを発見いたしました。
古さゆえの造形もいまや個性

古さゆえの造形もいまや個性

この武骨なデザインが堪りません。アルミの外板が鋲留めされているボディのクルマなんて、いまや他に見当たりません。

 友人の勝見祐幸くんがディレクターを務める、小田原の「UKClassicFactory」にドライブがてら遊びに行った所、極上のランドローバー・ディフェンダーがゴロゴロと転がっていたのです。

 勝見くんの本業は所謂ヘッドハンターなのですが、軽井沢の別荘用〝置き車〟としてクラシックレンジを買った所、英国車の魅力にすっかりハマってしまい、私財をドカンと投入して古い英国車の専門店を立ち上げてしまったのです。

 ディフェンダーは、「走るシーラカンス」とも揶揄される古い古いクルマです。

「ディフェンダー」の車名が冠されたのは1990年と比較的最近ですが、その源流は1948年のランドローバーの「シリーズ1」まで遡ります。頑丈な梯子型フレーム。鋲留めされたアルミの外板。何しろ元々が軍事目的で開発され、実際に軍用、警察用、消防用として各国で採用されてきたヘビーデューティなクルマですから、デザインは無骨そのもので、愛想の欠片もありません。

 だがそこが逆にカッコ良い。変に媚びないところが潔い。源流のシリーズ1は、1958年にシリーズ2、1971年にシリーズ3、とモデルチェンジを重ねて行きます。

 現在の形に落ち着いたのは1983年のランドローバー110になってからです。この110という数字は、ホイールベースの長さが110インチ(約2.8m)であったことに由来しています。

 ローバーのクルマですから、当然長らくエンジンはローバー社製のものが搭載されていたのですが、2007年からフォードのエンジンが搭載され、2012年からはフォードとPSA(プジョー・シトロエン)が共同開発した2・2ℓ直列4気筒のターボディーゼルエンジンを採用しています。

 このエンジンは非常に信頼性の高いもので、エンコしてせっかくのドライブが台無しになることも(滅多に)ありません。

 実はこのシーラカンス号、2016年1月29日をもって、民間向け車両の製造を終えています(軍用の車両の製造は継続しています)。これから新たに市場に投入される可能性は絶望的に低い。つまり価格が下がる可能性が低い。要するに、買ってもそれほどソンしない、ということなのです。

 次に売ることを考えてクルマに乗るのはハシタナイ、と考える向きもおられましょうが、ここは現実的に行きましょう。

 で、最後にアドバイスを。ディフェンダーを買うならATがオススメです。何しろこのクルマ、ハンドルが切れない。まさかここは、という交差点でも切り返しが必要になります。切り返しの度にクラッチペダルを踏みつけるのですから、疲れるしお気に入りの靴が左だけヤレてしまいます。

 面倒で疲れるのは女性関係だけで十分でしょう。クルマくらいはラクチンに行きたいものです。実際に乗ってみると分かりますが、世田谷でMTのディフェンダーに乗るとマジで死にます。ジジが乗るディフェンダーは絶対にAT。これ真理です。
ATで楽ちんドライブ

ATで楽ちんドライブ

ジジが乗るディフェンダーはATがオススメです。「UKClassic Factory」のATは本場イギリスで換装しているので、安い上に安心です。6速と4速アリ。


文・写真/フェルディナント・ヤマグチ
雑誌やwebで縦横無尽に活躍するマスクマン・コラムニスト。
昼間はビジネスマンであり、本業バレを防ぐためにメディア露出時は常にマスクを着用。
そこそこ速いトライアスリートとしても活躍中で、2017年は10レースほど参加。



【問い合わせ】
UK Classic Factory 小田原ショールーム/有限会社澤地自動車
〒250-0003
神奈川県小田原市東町1-2-27
☎0465-30-1555


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