GG的美食新店 「麻布十番 アパッペマヤジフ」

モテるジジは 〝痺らせ〟上手!?

暑さのせいで夏バテが抜けないの」とぐったりモードの彼女。食事デートにでも誘おうと連絡をしてみると、返ってきたのはちょっとツレないこんな一言。でも、もちろんそこで「そう、お大事にね」と、引き下がるジジではありません。「じつは、ちょっと面白いスパイスの店があってさ」「スパイス? なんだか体に良さそう♥」。そう、女性の多くはスパイス=体の中からキレイになれるという美食同源的イメージを持っているため、スパイスという言葉には無条件に反応してしまうのです。

 無事に彼女との約束を取り付けたら、めざすはジジも行き慣れた麻布十番商店街。この一角に、今東京で一番〝痺れる〟と言われている店があります。

 彼女をアテンドしながら店の扉を開くと『アパッペマヤジフ』と書かれた富士山モチーフのポップなイラストが目に入ります。スパイスと聞いて、インド料理やタイ料理あたりをイメージしていた彼女は「ここがスパイス料理のお店なの?」と意外な表情。デキるジジは〝ギャップ魅せ〟で相手の心を掴むことくらい朝飯前ですから、涼しい顔をして席に着きます。メニューを開きながら「ねぇ。料理の調味料といえば、パッと思いつくのは何?」と彼女に尋ねると、「そうねぇ。やっぱり塩かしら」。

 昔から、和食の基本調味料はさ(砂糖)し(塩)す(酢)せ(醤油)そ(味噌)と言われており、たいていの女性はその5つのどれかを答えることでしょう。ですが、江戸時代頃から日本でも親しまれており、我々の食生活にも欠かすことのできない調味料なのにイマイチ脇役的な立ち位置の調味料をお忘れではないでしょうか? そう、その調味料とは胡椒。かつて西洋では薬としても重宝され、金と同等の価値で取引されていた胡椒こそが、この店『アパッペマヤジフ』の主役であります。

 最近は日本のレストランもどんどん多様化しており、1つの食材に特化した〝専門店〟も増えていますが、胡椒の専門店は恐らく本邦初。そろそろお気づきのことと思いますが、店名を逆から読むと「フジヤマペッパア」となるのですね(スッキリ!)。

 世界的にも欠かせない調味料なのにどうして主役になれないのか、と疑問を感じたオーナーが安心・安全な胡椒を世界中に追い求め、辿り着いたのが自然林に囲まれた高地で栽培されるというスリランカ産の胡椒。味をキリリと引き締め、使いようによっては料理自体に旨みを出すこともできるれっきとしたスパイスの一種です。
さて、とは言いましても胡椒はあくまで調味料。料理の主役には成りえないのでは? と食経験豊富なジジでも疑問に思うはず。そここそが、このお店の「食わずに死ねるか!」ポイントです。こちらでは胡椒をふんだんに盛りこんだコース料理のほかに、アラカルトも用意されています。

 必ずオーダーすべき1品目は、ムール貝生胡椒蒸しです。ムール貝というと白ワイン蒸しなどが一般的ですが、こちらでは塩とにんにくにベトナム産の生胡椒をたっぷり加えて蒸し焼きにし、最後にヨーグルトを回しかけます。ぷりぷりとした宮城県産のムール貝は旨みをたっぷり含んで、生胡椒のフレッシュで青っぽい風味がその豊かな味を引き立てます。ヨーグルトのマイルドな酸味と胡椒の鮮烈な辛味にワインがすすみます。無邪気に貝を頬張りながら、彼女も「こんなスパイスの使い方は初めて♥」とお初な体験に目を輝かせることでしょう。
濃厚なムール貝の旨みを 爽やかな胡椒の風味が底上げ!

濃厚なムール貝の旨みを 爽やかな胡椒の風味が底上げ!

スリランカ産をはじめ、料理に合わせて胡椒を使い分けるのもこだわり。ムール貝の旨みを引き立てるには、青っぽさの残るベトナム産の生胡椒がベスト。特別な調味料は使っていないのに、この胡椒が加わることで味がビシッと締まるのが不思議。ついつい無言になってしまうほどの美味しさですが、ムール貝と胡椒の旨みが溶けだしたスープは最後に鰯ライスの炊き込みご飯にかけても美味しいので、ぜひお試しあれ。ムール貝生胡椒蒸し(S:2000円、L:3000円)。写真はS。

 そして、必ず食べるべき2皿目は胡椒壺炊き。通常はラムか豚肉かを選ぶのですが、事前に予約をしておけば合鴨への変更も可能です。熱々の土鍋の蓋を開けると、湯気とともに鴨のガラ出汁と塩漬けにしたスリランカ産ブラックペッパーの香気が立ち上り、それだけでも食欲増進! 未体験のスパイス使いとその味の豊かさ、自然由来のパンチが、夏バテした彼女はもちろん〝おつ枯れ気味〟のジジの心身にも心地よい刺激をもたらしてくれるはず。

 ちなみに、胡椒に多く含まれるピペリンという成分には、疲労回復やアンチエイジングの効能もあるのだとか。胡椒のパワーにあやかって彼女と2人、スパイシーな夜をお過ごしください♥
野生的な辛味がクセになる スパイシーな壺炊きが名物!

野生的な辛味がクセになる スパイシーな壺炊きが名物!

スリランカ産のブラックペッパーをふんだんに使った煮込み料理。土鍋のふちに巻かれた自家製パンをスタッフがカット。鍋の中にはインカの目覚めやマッシュルーム、極太もやしなどの具材がたっぷり。肉は豚かラムから選ぶことができます。この日は特別に合鴨をオーダー。スープはガラ出汁に塩と胡椒のみで味付け。そこはかとない滋味に癒やされます。パンをスープにひたしながら食べるのがお勧め。合鴨の胡椒壺炊き(S:2600円、L:3600円)。写真はS サイズ。

アパッペマヤジフ

東京都港区麻布十番1-6-7-2F
03-3479-6687
18:00 ~ 23:30(LO.22:30)
日曜 予算:6000円~
www.apappe.com
文/小寺慶子 写真/八巻 典千代 編集協力/斎藤正美

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