ジジたるもの、レストランの情報感度は細心にして最新にしておくべし!

こけら落とし。

それは新たに建てられた劇場で初めて行われる催しのこと。
そんな〝こけら落とし〟という言葉がしっくりくる劇場型の大箱イタリアンが南青山にオープンしたと聞いてピンと来たあなたは、かなりのグルメジジと言えるでしょう。

そしてジジは、今宵もグルメ女子を誘います。

「トマトの冷製カペッリーニを最初に考えたシェフ、知ってる?」
「ええ?イタリア人?」
「いや、日本人、山田宏巳シェフ。かつてはリストランテヒロとか…」
「あ、店の名前、聞いたことあります!」
「そう、そのヒロシェフが、超すごい店をオープンさせたんだよ!」
「え〜、行きたいです!」

開店直後はサービスが不慣れだったりメニューも充実していなかったりするもの。
実は開店して一ヶ月過ぎたあたりが、その店の本当の魅力を味わえる最速のタイミングであることを艶ジジは知っています。

4月下旬、〝こけら落としナイト〟と銘打った開店イベントも大盛況、今グルメ界で最も注目を集めるその店の名は「テストキッチン エイチ」。
開店から数ヶ月過ぎた今こそ行くべきとき。

骨董通りから路地を入った静かな場所に黒い壁の一戸建てが現れます。
大きな木製の扉を開けて中に入ると、天井の高い空間に女子は言うでしょう。

「わ〜、広〜い! すご〜い! 料理の鉄人みた〜い」
「これだけ広いフロアのオープンキッチンで柱が1本もない店って、見たことないでしょ?」
「本当ですね〜、わ〜」

軽井沢にでも来たような開放感に浸りながらフロアを歩き、曲線美が素敵な奥のベンチシートへ。
2人横並びで座って店全体を見渡しながら
「ね、遮るものが一切ないから、ここからでもキッチンがよく見える!」
「ホントだ、厨房の中に居るみたい、不思議〜」
冷えた白ワインで乾杯すると、最初に出てくるハムで覆われた前菜がいきなり衝撃です。

「山形に、ヒロシェフが惚れ込んだ『イルコテキーノ』っていうハムの名店があるんだけど、そこで修行を積んだ女性シェフが、同じ技法で熟成させた、モルタデッラとプレスハムなのよ」
「なんだかスゴそう!」

そう言ってハムを持ち上げると、下には何種類もの新鮮野菜が、さらに底にはチーズのスープが隠れているのは、シェフの遊び心。

続く冷製カペッリーニはヒロさんがその昔ざる蕎麦をヒントに生み出して世に広まり、今やイタリアでも真似される、山田宏巳の代名詞的な料理。
「このトマト甘っ、でも酸味もあって、超美味しい。そしてなにこれ、フォークが巻きやすい!」
「このフォークもヒロさんのアイデア、特注品。あとさ、フォカッチャって、どの店でも普通にオリーブオイルにつてけて食べるじゃん? 実はこの食べ方もヒロさんが最初なんだよ!」
「超すごいシェフなんですね!」

とそこへ、鍋に入った熱々の平貝とそら豆のパスタが、コンロの五徳風の鍋敷きとともに登場!

「ええ、なにこれ?」
「このテーブルもキッチンみたいでしょ? カラスミを好きなだけかけて、自分好みに仕上げたり、シェフも色々試しちゃう。だからこの店名なのよ」
「なるほど〜、感動!」
 
メインは、日本では珍しい薪のロースターでじんわり火入れされた、香ばしくてジューシーな牛肉のビステッカ(※トップ画像)。
その美味しさに女子のハートにも火が灯り、絶品デザートで仕上げれば、ジジにとっての〝まな板の恋〟は整いました。

あとは2人だけの〝テストキッチン〟で、〝H〟という名の”こけら落とし”が滞りなく催されることを祈るのみです(笑)。

文/すずきB 写真/工藤裕之

テスト キッチン エイチ

東京都港区南青山5-12-13
☎03-6452-6582
営業時間/17:30~21:30
無休(夏季休業、年末年始を除く
GG2018年7月号より