最新式よりジジ式! 4000万円のEタイプより100万円の「XK8」

とにもかくにも”センス”で乗る! 最新式ではないけど威張りも効いてまだまだ現役。これこそ「GG」が提唱する”ちょい古”グルマ。今回は優雅な佇まいや雰囲気を思いっきり愛でたいモデル、ジャガーXK8です
JAGUAR XK8 1998年式

JAGUAR XK8 1998年式

走行8.1万kmカーニバルレッド、17インチAW本革シート、HID価格108万円(税込)/ヴェンチュリー

この春、「新車同然のジャガーEタイプを限定販売!」というニュースを見て、ほほぉと思いました。ジャガー・ランドローバー・クラシック本部が程度の良い個体を厳選、オリジナルのパーツを調達して、同社の専門技術者がレストアするというものです。「リボーン」シリーズと名付けられたこの取り組みは、ジャガーEタイプ以外に初代レンジローバーなども取り扱っているようです。

新車同然のEタイプ、クルマ好きなら瞳がハートマークになってしまうことは当然です。一方で、最低で28万5000ポンド(約4000万円!)からというお値段を見た瞬間に、瞳のハートマークはビックリマークに変わりました。いくら憧れのクルマでも4000万円は、とお感じの方も......。ところがこの夏、取材でイギリスを訪れた際に、ピカッと天啓を得たのです。

あれは一連の取材を終えて帰国すべく、高速道路M3をヒースロー空港に向けてレンタカーのヒュンダイを走らせていた時のこと。夕刻のM3はまぁまぁ混んでいましたが、そこに空色のジャガーXK8コンバーチブルが、屋根を開けた状態で合流車線から入ってきたのです。内装はオフホワイト、運転しているのはハンチングを被ったジェントルマン、助手席には真知子巻きのようにスカーフを巻いたマダムが座り、談笑しながら楽しげに。
この時のXK8の優雅で美しかったこと! そりゃあ歴史的背景から生まれる威厳や希少性ではEタイプにかないません。でもそうしたストーリーを理解しつつクルマとしての美しさや存在感を比較したら、XK8も負けていないと思うのです。

つまりこういうことです。クルマの歴史やブランドについて何も知らない人の前にEタイプとXK8を並べたら、一定数の人はXK8のほうがカッコいいと判断するはずなのです。

これが2006年以降の2代目XKになると、かなりモダンにはなるものの、風流さは失われます。初代XK(つまりXK8)は絶対に狙い目だと確信したのです。

で、日本に戻ってからジャガーXK8を検索しまくりました。驚くことに、この美しいスポーツカーが100万円そこそこで手に入るのです。ジジの悪いクセで、「屋根が開くほうがいいんじゃね?」とか、「スーチャー付いてるXKRのほうが楽しいかも」と思いがちです。

でも、ここはクーペの〝素〟の仕様をお勧めします。ま、コンバチはアリかもしれませんが、ジャガーXK8は優雅な佇まいや雰囲気、手触りを愛でるモデル。燃費も悪くなり、余計な心配も増えるXKRを選ぶのはジジらしくありません。ジジは故障を心配するより、自分の体調管理に気を使うべきなのです!

さて、ここからさらに細かく絞り込みましょう。1996年から2006年まで製造されたXK8は、2002年にマイナーチェンジ。この時、4ℓだったV型8気筒エンジンは4・2ℓに拡大され、ATも5段ATから6段ATになっています。

取材車両は1998年式の前期型クーペ。搭載される4ℓのV8DOHCは、最高出力294psのパフォーマンスを誇ります。組み合わせられるZF製5速ATは、シフトショックの少ない滑らかな変速を披露してくれます

ここでよく話題になるのが前期型のZF製5段ATです。ネットなどではトラブルが多発するかのように大げさに書かれておりますが、実際はそんなに心配する程でもないそう。オーバーホールが必要になるような一大事はまれで、殆どがスイッチの故障など、どこにでもあるようなトラブル。専門店なら簡単に修理してくれるでしょう。

で、幸いにもちょろっと試乗させて頂いたXK8は、見た目と同じように実に手触りがよかった!まず、身体をホールドするというよりも包み込むと表現したくなる、シートの出来が絶品です。街中ではしっとりやわらかいのに、コーナーで横Gがかかるとグッと身体を支えてくれるホールド感、いかにもクルマを知り尽くしているという印象でした。

あと、ステアリングホイールの手応えが最高です。当然ながら前輪にトルクがかからないFRですし、電動モーターを介さない油圧パワステのちょっと湿度を感じさせる手応え、たまりませんね。

インスツルメントパネル部分に迄全面にウッドの貼られたダッシュボードと、レザーとウッドがコンビになったステアリング。XK8がラグジュアリー・スポーツカーであることの証です。Jの字形のシフトゲートが懐かしい。

トドメが乗り心地。市街地では、4本の足が生き物のように伸びたり縮んだり。確か、XKRはもっとビシッとしたスパルタンな足まわりだったと記憶していますが、XK8はスポーツカーでありながら乗り心地は快適です。しなやかな乗り心地という意味でも、XKRよりXK8推しです。

でもって、足まわりはヤワいのかと思えばさにあらず。シートと同じで、横Gがかかると、まるで最新の電子制御式可変ダンパーのように足まわりがビシッとして、姿勢を保ちます。

基本、小さいコーナーをキャンキャン攻めるより、曲率の大きいコーナーを悠々と走るのが似合うモデルです。でも高速が一番得意なグランドツーリズモというわけでもなく、曲がりでも魅せてくれるのです。

Eタイプには憧れますが、それは八千草薫やオードリー・ヘップバーンとデートしたいと願うようなもの。老い先は長くないのですから、幸せはもっと身近にあることを知るべきなのです。

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