GGのあるある川柳「セレクトで サミットしてる こじゃれジジ」

岩佐幸一がファッションに目覚めた頃、東京ではみゆき族全盛期。福井在住の当時、集団就職で東京に出て行った従兄弟が送ってくれたVANの紙袋(ホントに使い古しの紙袋だけ送ってきた)を持って歩けば、誰もが振り返った時代だった。

そこでファッションの快感に目覚めた幸一は、とにかく東京を目指すべく一心不乱にメンクラを丸暗記。それから幾星霜、ファッション業界の裏方として働き、いくつかのヒットアイテムも生み出してきたいま、ようやく悠々自適の生活に。

ところが毎朝行くところがなくなって分かったのは、自宅でテレビ見てるだけならステテコもハイブランドも一緒だということ。ファッションとは見てくれるオーディエンスがいてこそ成立するものだという真理でした。

やがてオーディエンスを求めて、キメたスタイルで街歩きを始め、気がついたら同年代の客が集まるセレクトショップの常連となっていたのでした。ある日、誂えたばかりのコットンウールのジャケットを羽織って、代官山のはずれにあるセレクトに出かけたのはまだ朝時。

開店より3時間も前だけど、早く目が覚めちゃうんだもの。そのうち服友のシンちゃんもやってきて、彼も新作のコットンウール・ジャケット着用なのに気がついた。「いいねー、そのジャケット」とシンちゃん。

同じような服を着てるくせに、お互いを褒め合うのが日課。次いで出勤してきたバイトの紗世ちゃんに二人で愛想を振りまくも、お揃い(にしか見えない)スーツを着たふたりを見て、明らかに顔が強張ったのには気がつきませんでした。

それにしても思うのは、年を取っても人間のやることは変わらないということ。福井の洋品店にタムロしていた高校生が長じて代官山のブティックでとぐろを巻いているとは。これを進歩と呼んでいいのか悩む63歳の晩秋であります。
文/鞆田聖一
イラスト/遠山晃司