《ちょい不良(ワル)温泉物語》 すべてが懐かしく、すべてが新しい重ねた時間を飛び越えるタイムレスグルメ

6万5千坪の森の中に誕生した全14室の温泉リゾート。スタンダードからリビング付きのスイートまでタイプの異なる部屋がある。

 黄金色のジジは時空を行き交うタイムマシンを持っている。いつでも自由に好きな時代へ瞬間移動し、いつも新しくて懐かしい自分にレストアできる能力を備えているものなのです。

そう、輝くジジの温泉物語のキーワードは「新しくて懐かしい」。誰もがキラキラに輝いていたあの頃を、そっと開いてレストアしたら、こんなに新し懐かしい幸せが待ち受けていたのでございます。

 さあ、時空を飛び越える温泉の扉はこちらです。
「秘密の別邸を予約したよ」
 箱根の喧騒から逃れ、静寂の森へと進むと小さな看板が現れます。
 そういえば、あの頃も紹介がないと入れないみたいな隠れ家をどれだけ知っているかが勲章だった。

「さあ。着いたよ。11月3日にオープンしたばかりなんだ」
「あら。新しい宿なの?楽しみ〜」

 スカルプチャード・グラスが迎えるエントランス。色とりどりの重厚なガラスの光にあの頃の音楽が甦る。ロマンティックな光が彼女の瞳に映っています。

「ようこそお越しくださいました。お部屋へご案内いたします」
 テラスデラックス#107はヒメシャラやブナの原生林を眺めるテラスに大き目の湯船が備えられています。全室源泉かけ流し。青白い濁り湯から漂う優しい硫黄の香り。温泉好きの彼女はさっそく湯あみの支度です。

 仙石原温泉は大涌谷から引かれた酸性-カルシウム-硫酸塩・塩化物泉。お疲れ気味のジジの肌に喝を入れて、あの頃のように艶やかな肌へとレストアしてくれる活性サポートの湯。めくるめく時代を駆け抜けた創業者・ジョン金谷鮮治氏もこんな時間を過ごしたかもしれません。

「西麻布だ……」
「え?何か言った?」
「これは美食の神様だよ。ほら、フライパンをもっているんだ」

 西麻布の『西洋膳所ジョンカナヤ麻布』に夜な夜な集った〝あの頃の俺〟のみなさん、お待たせいたしました。今宵甦る新しくて懐かしい晩餐の始まりです。

 シャンパンの華やかな香りさえ懐かしく感じる時空の旅は、ジジの心の中にとどめておきましょう。今宵は目の前の君と、ちょいビンテージにレストアした俺に乾杯。

落ち着いたレストラン内。入口には「鬼怒川温泉ホテル」に置かれていた、美食の神さまを描いたという、ガブリエル・ロワール作の厚みがあり立体的なステンドグラス、スカルプチャードグラスが飾られています。

秘密の穴がとっても気になる特注の皿がセットされたダイニングテーブル。その答えは前菜の後にやってきます。ゴールデンジェネレーションのあなたなら解るはず。そう、あの伝説の「金谷玉子」です。懐かしすぎて泣かないでくださいね。西麻布時代の初代料理長・坂井宏行氏のDNAを受け継ぐ若きシェフ・森祥崇氏が手掛ける新しいジョンカナヤのおもてなし。生卵の殻を薄皮だけを残して糸ノコでカット、小さな穴をあけてソースの分だけ白身を調整しオーブンでじっくり。半熟でもなく固ゆででもない絶妙の火入れ。秋の金谷玉子はポルチーニソースの仕上がり。香り立つキノコのスープはワイングラスでいただきます。

落ち葉の森を感じる前菜。

和の出汁で煮込んだ冬大根ととろとろのフォアグラは柑橘がアクセント。テーブルにはオリジナルの箸も用意。

金目鯛、春菊、菊花、牛蒡。和の素材をフレンチの手法で。これは日本酒でも焼酎でもウイスキーでもイケる。

仔牛のローストは異なる部位を野菜やワインのソースでいただく味わい深い一皿。


文/かりのすみか 写真/工藤裕之


神奈川県・仙石原温泉金谷リゾート箱根
KANAYA RESORT HAKONE
神奈川県足柄下郡箱根町仙石原1251-16
☎0288-76-2030(9:00〜20:00予約センター)
料金:1泊2食付き2名利用時お1人様(税別・サ込)
2万7500円〜11万円 
アクセス:小田急ロマンスカー新宿駅から箱根湯本駅まで85分・駅から箱根登山鉄道で強羅駅まで15分(強羅駅より無料送迎あり。要事前予約)。車・東名御殿場I.C.、または小田原・厚木道路箱根口I.C.からともに約25分(ナビで「湯場中バス停」を設定してください)。 
駐車場台数22 総客室数14(全室源泉かけ流し温泉風呂付/内12室露天風呂) 
チェックイン/アウト▶15:00〜/〜12:00

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